旧統一協会

旧統一協会

統一協会が同性婚を否定する背景に、「神の祝福を受けた男女の結婚でなければ行く先は地獄である」とする彼らの教義があります。教義解説書である『原理講論』では、「人間の祖先が天使と淫行を犯すことによって、すべての人間がサタンの血統より生まれるようになった」とされています。アダムとエバ(イブ)の時代、エバが天使と不倫関係を結んだ後にアダムと関係を持ったことで、全ての人類は生まれながらにサタン(罪を犯した天使)の血統という原罪を背負った。これを清めるため、選ばれた女性が第3のアダムとして降臨した文鮮明に「祝福」される必要がある。その女性と結婚することで相手男性も清められ、原罪のない子孫がつながっていくことで世界が救済されるというものです。
 問題は、「祝福」の対象が女性に限定されていることです。この「祝福」とは実際には「血分け」と呼ばれる儀礼的性交を指し、文鮮明と女性信者との肉体関係こそが教義の核心にあります。この「祝福」を象徴的な形に変えて行っているのが「合同結婚式」です。正式名を「国際合同祝福結婚式」といい、本人の意思に関係なく、信者同士が組織によって決められた相手と集団で結婚式を行います。
 文鮮明は1946年に混淫による社会秩序混乱罪、48年に姦淫(かんいん)容疑で逮捕されており、55年には監禁罪などの容疑で再逮捕。女性信者を「七二時間説教方式」と称して自宅に閉じ込め、「私は神の子だから私と肉体関係を持てば、あなたは救世主を生むことができる」と説教して貞操を奪ったと当時の新聞で報道されています。
 「血分け」こそが唯一の救いの道と謳(うた)う文鮮明は、同性婚を「許しがたい蛮行」と批判。「彼らの主張が貫徹した世の中を想像してみてください。人類は、二代を越えることができずに絶滅するでしょう」(統一協会系雑誌『世界思想』2019年2月号で掲載されている文鮮明のメッセージ)と真っ向から否定しています。同性婚批判の背景に、聖なる儀式と称して女性蔑視の性干渉を正当化する、歪(ゆが)んだ実態が透けて見えます。

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