PFASについて一般質問

PFASについて一般質問

2024年3月12日に行った一般質問のうち、PFASについての全文を掲載します。

【野島】

有機フッ素化合物(通称PFAS-ピーファス-)と言いますが、多くの化学的性質を持つことから、あらゆる製品の高性能化・高機能化に役立てられています。その一方で、人体や環境に対しての有害性が指摘されており、世界的な環境問題として注目を集めています。このPFAS、様々な性質を持っています。例えば、熱に強い、水や油を弾く、燃えにくい、汚れを防止する等が挙げられます。私たちの身近なところでは、焦げ付きにくいフライパンの表面処理剤、自動車のコーティング剤、消火器に含まれている消火剤などに使用されています。化学構造上、炭素とフッ素が非常に強い力で結びついています。そのため自然界では分解されず、海や土壌に堆積することで、循環系に長期間残存し続けます。実際に日本国内でも、水道水に使用している井戸水から基準以上のPFASが検出された事例もあるなど、私たちの飲み水にまで影響が及んでいます。

PFASの汚染は全国に広がっています。PFASを製造する工場のほかPFASを含む泡消火剤を使用した米軍や自衛隊の基地、さらに半導体や建築素材、衣料品、包装材、化粧品など、さまざまなメーカーの工場から流出があったと考えられています。汚染は1970年ころから始まったとされていますが、明らかになったのは最近のことです。

環境省はPFASのうち、幅広く利用され高い蓄積性を有するPFOSとPFOAの汚染状況について、2020年に調査結果を発表しましたが171カ所中37地点で国の暫定目標値50ng/l(ナノグラム)を超え、深刻な汚染が明らかになりました。他の自治体でも独自調査が始まっており、環境省の調査地点以外の汚染が次々に発覚しています。

そこで伺います。

  1. 水道水中のPFOS・PFOAの暫定目標値はどのような考え方で設定されているのか。
  2. 本市の水道水はどこの川から来ているのか。また、PFOS・PFOAの検出状況をお示しください。
  3. 日本でのPFOS・PFOAに対する規制状況はどうなっているのかお示しください。
  4. 本市において国の目標値50ng/lを超えている河川や井戸はあるのかお示しください。該当する場合は地域もお示しください。

【水道局長答弁】

 PFASについてのうち、所管についてお答えします。まず、PFOS・PFOAの暫定目標値の考え方についてですが、国は令和2年4月にPFOSとPFOAを水道水の水質管理目標設定項目に位置づけ、当時の科学的知見に基づき、PFOSとPFOAの合算値を1リットル当たり50ナノグラム以下とする暫定目標値を定めております。この目標値は、体重50キログラムの人が、水を生涯にわたって毎日2リットル飲用したとしても、この濃度以下であれば健康に悪影響が生じないと考えられる水準を基に設定されたものです。

 次に、本市の水道水はどこの川から来ているのかについてですが、市内の水道は主に千葉県営水道と千葉市営水道により給水を行っており、県営水道が市内に給水している水道水の原水は、利根川や養老川などの表流水であり、市営水道においては給水量の約9割を県営水道からの受水であり、残り1割を井戸水で賄っております。

最後に、PFOS・PFOAの検出状況についてですが、今年度の検査結果では、県営水道が市内に給水している水道水における最大値が1リットル当たり7ナノグラム、市営水道では6ナノグラムと、県市ともに国の示す暫定目標値50ナノグラムを大きく下回っております。以上でございます。

【環境局長答弁】

 PFASについてのうち、所管についてお答えします。

 まず、PFASの日本での規制状況についてですが、PFASの一つであるPFOSやPFOAは「科学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」により、第1種特定化学物質に指定され、製造・輸入等が原則禁止されています。国は、令和2年5月に、引き続き知見の集積につとめる必要がある化学物質として、PFOS・PFOAを要監視項目に追加し、暫定目標値50ng/Lを定め、汚染実態の把握に努めるとともに、この暫定目標値の取扱いについて最新の科学的知見に基づき検討中であります。

 最後に、暫定目標値を超えている河川や井戸についてですが、今年度、河川4地点と飲用井戸3地点において調査を実施しましたが、すべての地点で暫定目標値以下となっております。

【野島】

従来の公害とPFASの大きな違いは「被害がわかりづらいこと」と言われています。答弁でありましたように現在はPFASの製造、使用とも禁止されていますが、自然界で分解されない化学物質のため、いつ人体に影響が及ぶかわかりません。

PFASには水俣病の有機水銀のような急毒性はなく、人体にある脂肪酸と同じような働きをするため、免疫機能や発達などに多様な影響を及ぼします。生体機能を少しずつ撹乱するため、健康被害の典型例が見分けづらく、人体にさまざまな影響を与えるとされます。現在、米国の研究で根拠がある健康被害として、腎臓がん、胎児や子どもの発達障害、脂質代謝異常、ワクチン効果の減弱の4つが挙げられています。

国の目標値50ng/lいうのは、確かに、これが世界の一つの基準にはなっていますけれども、アメリカなどでは、数値を下げるべきだという世論が広がり、昨年末には4 ng/lと従来の10分の一以上に下がりました。

そこで伺います。

  1. 国の暫定目標値は50ng/lですが、これはアメリカやEU基準を大幅に上回っています。千葉県内も家庭の蛇口の給水段階目標は50ng/lを安全基準としています。水道水中のPFOS・PFOAの日本の暫定目標値とアメリカやEU基準との差は、大変危険だと考えますが市の見解を伺います。
  2. 市民の方から相談があり、千葉市内のPFASについて大変心配されておりました。市民への水道水に係るPFASの周知についてお示しください。
  3. 水道水から検出されているPFASが目標値を超えた場合、どのような対応をしていくのか、また課題などあればお示しください。

【水道局長答弁】

 PFASについてお答えします。まず、水道水中のPFOS・PFOAの国の暫定目標値とアメリカやEU基準との差についてですが、現在、WHOや各国で目標値の設定について更なる検討が行われており、国においても最新の科学的知見に基づき、専門家による目標値の設定について検討が進められていると聞いております。引き続き、国の動向を注視して参ります。

 次に、市民への水道水に係るPFOS・PFOAを含めた水質検査の結果をホームページで公表しておりますが、PFOS・PFOAの検査結果や水道水の安全性について、より分かりやすく市民の皆様にお知らせできるように検討して参ります。

 最後に、水道水に係るPFASが目標値を超えた場合の対応についてですが、現時点においては、暫定目標値を大きく下回っていることから、具体的な対応は考えておりませんが、今後も国や他自治体の動向を注視して参ります。以上でございます。

【野島】

千葉市については、すぐに何か急に大きな数字が出てくるという状態でないということは理解しましたが、PFASそのものをどう考えるかということは、みんなの認識にしておかなければいけない問題です。ナノグラムは、なかなか日常は使われませんけれども、今回調べてみると、東京ドームにお水をいっぱいに満たして、そこに大さじ4杯の食塩を入れる。そのくらいのものが50ナノグラムだそうです。そんなに薄いものでも体に影響がある、基準になるということです。

答弁では、今、国内での使用は禁止になっていて、しかし、健康への影響は不明である。国では科学的根拠に基づく総合的な対応が検討されている。つまり、使っていないし、今は大丈夫だよということで、国の状況を待っているところです。

身近で、焦げつかないからと喜んで使っていたフライパンも、だんだん劣化してきて、上のほうがはげてきたら危ないし、防水スプレーも、以前から使われているアメリカのある企業のものは、一般的に売っていたわけです。みんな濡れないようにと洋服にかけていたのですが、その中にPFASに関する成分が含まれていたということも明らかです。そういうことを早く住民に伝えるべきです。今後、更に話題になって、様々な市町村で検査が必要だと話が出ると思います。すでに多摩地域では民間医療機関の協力で血液検査が行われ、血中のPFASが指標値を超えた方も多く出ているそうです。本市としても今後の学術的な研究のために、大規模な血液濃度の疫学調査を実施すべきではないかと意見を申しておきます。

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