2026年「世界10大リスク」を読み解く―平和と民主主義の岐路に立つ日本

2026年「世界10大リスク」を読み解く―平和と民主主義の岐路に立つ日本

 2026年の幕開けにあたり、世界の政治・経済情勢はかつてない激動と不確実性の渦中にあります。米国の著名な政治学者イアン・ブレマー氏率いるユーラシア・グループが発表した今年の「世界10大リスク」は、私たちが当たり前だと思ってきた「法の支配」や「国際秩序」が根底から揺らいでいることを浮き彫りにしています。

しんぶん赤旗 日刊紙 2026/01/07付

1. 「安全装置」が壊れた米国の暴走と民主主義の危機

 最大のリスクとして挙げられたのは、トランプ大統領による「米国の政治革命」です。特筆すべきは、第1次政権において暴走を食い止める役割を果たしていた「安全装置」が、今や崩れ去っているという指摘です。 政治的理由による公務員の大量解雇や、司法への介入、リーダー不在の野党による抵抗力の弱体化。これらは単なる米国内の政局ではなく、近代民主主義が築き上げてきた三権分立や行政の中立性という土台そのものの崩壊を意味します。権力が個人に集中し、チェック・アンド・バランスが機能しなくなった国家がどこへ向かうのか。この「予測不能な暴走」は、同盟国である日本、そして世界全体の安全保障と経済に計り知れないリスクをもたらします。

2. 「米国式国家資本主義」と変容する経済の形

 かつて米国は「自由市場」の旗手でしたが、第6位のリスクとして挙げられた「米国式国家資本主義」は、その変容を冷酷に映し出しています。政権が民間企業に介入し、政治的忠誠を強いるような経済構造は、市場の合理性を歪め、一部の権力に近い企業だけが利益を得る構造を生み出します。これは、第8位の「ユーザーを食い尽くすAI」とも密接に関連しています。企業が社会的責任を放棄し、利益のみを追求して開発を進めるAI技術は、個人のプライバシーを侵害し、格差を固定化する道具になりかねません。人権よりも資本の利益を優先するこの流れは、新自由主義の末路とも言える深刻な事態です。

3. 覇権争いの激化と「トランプ版モンロー主義」

 外交面では、第3位の「トランプ版モンロー主義」が世界を震撼させています。ベネズエラへの介入成功を背景に、米国が中南米を自国の独占的な勢力圏とみなし、強硬な軍事・政治圧力を強める姿勢は、国連憲章が定める「主権平等の原則」を公然と踏みにじるものです。一方で、第2位には「中国の電気覇権」、第7位には「中国のデフレ」がランクインしています。クリーンエネルギー分野で世界をリードする中国の台頭と、国内経済の停滞という二面性が、世界経済に新たな緊張を生んでいます。米中双方の覇権主義的な動きの中で、日本がどちらかの側に盲従することは、平和と安定を遠ざける結果にしかなりません。

4. 平和外交と憲法に基づく「対案」の重要性

 こうした「リスク」の羅列を前に、私たちが確認すべきことは何でしょうか。それは、軍事対軍事の対決や、大国による排他的な囲い込みに加担しないことです。第5位の「ロシアとNATOの対峙」や、第4位の「包囲される欧州」に見られるように、軍事同盟の拡大や排他的なブロック化は、かえって紛争の種を撒き散らしています。今、日本に求められているのは、憲法9条を堅持し、どの国とも対等に、平和的な対話を呼びかける自主独立の外交です。

5. 市民の暮らしを守るために――千葉市からの提言

 世界10大リスクの最後、第10位には「水の武器化」が挙げられました。気候変動や紛争により、生命の源である水さえもが戦略的な道具とされる時代です。グローバルなリスクは、決して遠い世界の出来事ではありません。食料自給率の低下やエネルギー価格の高騰、そして人権の軽視として、私たちの自治体、千葉市での暮らしにも確実に波及してきます。政治の本分は、権力者の野心をかなえることではなく、市民一人ひとりの権利を守り、生活の安心を保障することにあります。ユーラシア・グループが描くような「暴走する世界」に対抗する最大の力は、私たち市民の連帯と、民主主義をあきらめない意志です。日本共産党の一員として、私は大国追従の政治を正し、国際法を守る平和な国際社会の実現に向けて、足元の地域から声を上げ続けていきます。2026年の困難な情勢を乗り越え、希望ある未来を切り拓くために、皆さんとともに歩む決意です。

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