【令和7年度決算審査】市民の命を守る消防体制の検証と、持続可能な市立病院運営(青葉・海浜病院)への提言
令和7年度の決算審査2日目。消防局および病院局(青葉病院・海浜病院)の事業運営について質疑を行いました。
市民の命と暮らしに直結する防災・救急体制の強化に加え、税金が投入される公立病院の適切な経営・医療提供のあり方について、成果を評価しつつ現場の課題を厳しく検証いたしました。本記事では、分科会での質疑のポイントと私の意見・提案をご報告いたします。
1. 防災・救急体制の強化:感震ブレーカー普及と消防基盤の充実
■ 感震ブレーカー設置補助の「市内全域・要支援者」への大幅拡大を
首都直下地震等の発生時において、火災原因の6割以上を占めるのが停電復旧後の「通電火災」です。令和8年7月に公表された本市の新たな地震被害想定においても、「感震ブレーカーを100%設置した場合は出火による死者数が半減する」という明確な試算が示されました。
しかし本市において、特定地域での現在の設置率は14.8%にとどまり、令和7年度の補助実績も193世帯と想定を下回る厳しい結果となっています。 市民の命を守り切るためには、現在の限定的な対象地域を見直し、補助対象を「市内全域の木造住宅や要支援者世帯」へ大幅に拡充するとともに、危機管理部と緊密に連携して予算枠を大幅に増額することが不可欠です。
■ 「令和8年8月千葉豪雨」での実動成果と消防団支援
令和8年8月に発生した「千葉豪雨」では、冠水や水害に対し消防局が延べ441台出動し、45人もの要救助者を救出いたしました。アンダーパス冠水現場での排水活動など、現場隊員の迅速な判断が人命救助に直結しました。現在進行中の検証結果を今後の車両更新や水難・熱中症対策資機材の整備へ確実に反映させるよう求めました。
また、地域防災の要である消防団員については、高視認性活動服の全配付推進やスマホアプリによる報告業務のデジタル化(令和9年1月試行予定)を迅速に進め、現場負担の軽減を求めました。
■ マイナ救急の成果と応急処置最優先の徹底
「マイナ救急」の実証事業では、会話困難な傷病者の持病(てんかん発作等)が判明し、受入病院でのスムーズな事前治療準備につながるといった成果を確認しました。一方で、現場滞在時間が全搬送平均より長い実態を踏まえ、機器不具合時の迅速な通常移行や、重症・一刻を争う事案における応急処置最優先の運用原則を現場へ改めて徹底するよう強く要望いたしました。
2. 市立青葉病院の老朽化対策と専門医療の強化
■ 施設老朽化対策と優先順位に基づく設備投資
開院から23年が経過した青葉病院では、空調熱源設備2台の更新や外壁改修、患者動線上の水漏れ修繕(23台対応)が進められました。今後3年間の二次実計期間で約12億円の設備投資が見込まれる中、厳しい病院経営を踏まえ、患者の安全と診療機能の維持を最優先とした優先順位に基づく計画的な改修を申し入れました。
■ 精神科・児童精神科と専門センターの取り組み
- 精神科病棟・児童精神科: 専従の精神保健福祉士の配置により在宅復帰率92%という高い実績を上げている点を評価。ニーズが高く受診まで時間を要する児童精神科については、緊急性に応じた対応と学校・相談機関とのスムーズな連携強化を求めました。
- 専門センターの成果: 血液内科では年間約1万6千人の患者を受け入れており、医師の負担軽減に向けた「専門データ管理者」の採用を評価。また、甲状腺・副甲状腺センターでの専門医増員による新規入院増(耳鼻咽喉科で68人増)や、地域連携パス(脳卒中・大腿骨・誤嚥性肺炎)の活用による在宅復帰率97%の達成など、高度・専門医療の安定的な提供を期待します。
3. 【市立病院運営の視点】“収益”と“利益”の違い、不採算医療と広域負担のあり方
今回の病院事業会計決算審査を通じ、病院経営の本質に関わる重要課題を提起いたしました。




■ “収益”と“利益”の違いを見極める
議会答弁において当局から頻繁に示されるのが「収益増加」という言葉です。しかし、わかりやすく言えば「収益=売上高」を示す数字であり、「収益増加」が必ずしも「利益(儲け)」につながるわけではありません。
例えば、青葉病院の血液内科は大きな収益を上げていますが、高額な抗がん剤を多用し、多くの医師、看護師、薬剤師などの専門職が手厚く関わっています。そのため、診療内容を詳細に分析しなければ、大きな“利益”をあげているかは分かりません。病院局が示す「収益」の数字だけに惑わされず、内容に踏み込んだ経営分析が必要です。
■ 不採算な「政策医療」の精査と収支改善努力
公立病院には、単に利益をあげるだけでなく、不採算であっても地域に必要な医療を提供する役割(政策医療)があります。海浜病院でいえば、小児科、新生児科、先天性心疾患診療部などがその代表です。 これらは一部補助金の対象となりますが、公立病院だからといって採算を完全に度外視し、無制限に人員を増やしたり不要な人件費を支出したりすることが許されるわけではありません。政策医療であっても内容を精査し、常に収支改善の努力を行うことが求められます。
■ 近隣自治体への経費負担要請を
海浜病院の小児科では、「市外からの時間外患者を多数受け入れている」ことを医師増員の理由に挙げており、近隣市の小児科2次当番病院も担っています。 しかし、千葉市民の税金で運営されている市立病院が近隣市の患者を多数受け入れるのであれば、その救急医療にかかる経費は近隣自治体も一定の割合で負担するのが当然の筋です。現状を踏まえ、近隣市に対して小児救急医療にかかる経費負担をしっかりと求めていくべきです。
おわりに
市民の命を守る消防体制の整備と、税金が適正に使われる持続可能な市立病院経営の実現に向け、今後も皆様の声を市政へ届けてまいります。ご意見・ご要望がございましたら、ぜひお気軽にお寄せください。