【報告】蘇我駅前連絡所の廃止計画と住民説明会 — デジタル化の陰で置き去りにされる対面ニーズと災害時の「代替機能」の重要性

【報告】蘇我駅前連絡所の廃止計画と住民説明会 — デジタル化の陰で置き去りにされる対面ニーズと災害時の「代替機能」の重要性

千葉市は、デジタル化や各種手続きのオンライン化推進を理由に、市内5か所にある「連絡所」を令和9年9月に一斉廃止する方針を示しています。これに伴い、令和8年9月4日、蘇我コミュニティセンターにて「蘇我駅前連絡所」の廃止に関する住民説明会が開催されました。

行政側は、マイナンバーカードの普及やコンビニ交付の利便性、そして年間運営経費の削減(5館合計で約5,500万円)を理由に挙げて理解を求めましたが、質疑応答では集まった地域住民の皆さんから懸念や不満、そして具体的な課題が相次いで出されました。

私は、行政手続のデジタル化そのものを全面否定するものではありません。しかし、身近な場所で対面による支援を提供してきた連絡所の廃止には明確に反対の立場です。特に、平時の証明書発行だけでなく、「災害時における区役所の補完・代替機能」という観点からも、身近な窓口の存続・強化は極めて重要であると考えています。

今回は、説明会の様子を振り返るとともに、防災・減災の視点も含めた今後の行政サービスのあり方についてご提案いたします。

1. 説明会の概要と行政側の主張

説明会の冒頭、市側(市民局区政推進課)から連絡所廃止の根拠が示されました。 市が掲げた主な見直しの理由は以下の通りです。

  1. マイナンバーカードの普及と利用環境の変化 市内におけるマイナンバーカード保有率は令和1年度の19.5%から令和7年度には84.3%へ急増。来庁不要な手続き(コンビニ交付・オンライン申請等)の割合も50.4%に達しています。
  2. 利用件数の激減と高コスト構造 蘇我駅前連絡所での証明書発行件数は、平成27年度の15,750件から令和6年度には7,976件へと、10年間で約50%減少しました。1日あたりの発行件数は33.2件にとどまり、証明書1件あたりの発行経費は1,016円(コンビニ交付は約200円)と、行政効率の観点から維持が困難であるとしています。
  3. 今後のスケジュール 令和8年度前半に地域への説明を実施し、広報等での周知期間(令和8年度後半〜令和9年度前半)を経て、令和9年9月に一斉廃止とする計画です。

行政側は「証明書はコンビニやオンライン、郵送、あるいは近隣の区役所・市民センターで取得可能であり、廃止による大きな不利益は生じない」というスタンスを強調していました。

2. 質疑応答から見えた住民の不安と切実な声

続いて行われた質疑応答では、市の説明に対する疑問や、現場の利用実態を踏まえた切実な意見が相次ぎました。

  • デジタル化から取り残される高齢者・単身者の不安「区役所に行くといつも混雑していて時間がかかる。対面で相談しながら手続きができる身近な連絡所があるからこそ助かっていた」「賃貸アパート住まいで町内会に入っていない住民も多く、紙1枚の周知で済ませるやり方は冷たい」といった声が寄せられました。
  • 周知方法の限界自治会長からは「回覧板を回しても目を通すのは半分程度で、アパート住まいの人には届かない。全員への周知徹底は非常に難しい」との実態が明かされました。
  • 情報不足と行政の姿勢「コンビニ交付だと手数料が50円安いことすら知られていない」という指摘や、「連絡所の機能を拡充して対応業務を増やせば利用者は増えたはずだ」という本質的な意見も出されましたが、市側は「スペースや人員の面から機能拡充は困難」と回答しました。

3. 考察と提言:災害対応の分散拠点として「区役所の代替機能」を強化すべき

今回の説明会を通じて浮き彫りになったのは、行政側が示す「数値上の効率性」と、住民が求める「安心感や利便性」の隔たりです。

そして、私が特に強調したいのは「災害時における行政窓口の分散機能」です。

先日の千葉豪雨の際、浸水や建物被害を受けた多くの方が「罹災証明書」の発行申請のために中央区役所へ詰めかけ、窓口は大混乱・大混雑となりました。家屋の片付けや生活再建に追われる中、混雑する区役所まで足を運び、長い待ち時間に耐えることは、被災された住民の皆様にとって大きな負担でした。

もしこの時、蘇我駅前連絡所や近隣の市民センターでも罹災証明書の発行や申請受付ができる体制が整っていたらどうだったでしょうか。混雑は大幅に分散され、身近な地域でスムーズに手続きを済ませることができたはずです。

コストや平時の利用件数だけで判断して連絡所を廃止してしまうことは、災害時における「地域の防災・支援拠点」を自ら削ぎ落とすことにほかなりません。

私は単なる現状維持を求めるだけでなく、以下のような「災害対応まで見据えた区役所の代替・補完機能の強化」を市に強く提案してまいります。

① 罹災証明書発行など「災害時窓口」としての機能整備

連絡所や市民センターに専用端末やネットワーク環境を常備し、大規模災害時には即座に「罹災証明書発行・相談サテライト」として機能する体制を構築すべきです。区役所に一極集中させない「リスク分散」こそが、防災都市・千葉市に必要な視点です。

② 平時からの「まちの相談所」としての機能拡充とデジタル支援

平時においても、単なる証明書の発行にとどまらず、マイナンバーカードの活用支援や各種オンライン手続きの「操作サポート窓口」として連絡所を活用すべきです。高齢者や不慣れな方へ伴走支援を行うことで、区役所の混雑緩和にも直接つながります。

③ アパート居住者・単身者へ届く多角的な情報発信

町内会ルートだけに頼る周知には限界があります。災害情報や行政サービスの見直しについては、駅頭での周知、賃貸物件へのポスター掲示、LINE等のデジタル媒体を活用し、すべての住民へ確実に情報が届く仕組みをつくります。

結びに代えて

行政手続のデジタル化や効率化の流れそのものを否定するつもりはありません。しかし、行政サービスの真の目的は「コスト削減」ではなく「市民の命と暮らしを守ること」です。

平常時の利便性はもちろんのこと、豪雨や地震といった非常時に市民を支える「頼れる身近な拠点」をなくして良いのか——。千葉市には、今回寄せられた住民の声や災害時の教訓を真摯に受け止め、安易な廃止方針を再考し、より防災力・地域力が高まる行政サービスのあり方を模索するよう、今後も強く働きかけてまいります。

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