令和8年 広島平和記念式典
本日、8月6日、被爆から81年を迎えた「原爆の日」にあたり、広島市平和記念公園において平和記念慰霊式及び平和祈願式(平和記念式典)が挙行されました。
今年は日本共産党中部地区委員会で視聴しました。

世界の情勢が厳しさを増し、核兵器による威嚇や武力の行使、分断が深刻化する中で開催された今年の式典では、被爆者や遺族をはじめ、国内外からの参列者が一堂に会し、原爆犠牲者への哀悼と、核兵器廃絶・世界恒久平和への切実な祈りを捧げました。

1. 広島市長による「平和宣言」
松井一実・広島市長は平和宣言において、被爆81年を迎えた現在の国際社会に対する強い危機感を表明しました。

現在、核兵器による威嚇や国際法を無視した軍事侵攻が繰り返され、NPT(核不拡散条約)再検討会議において成果文書が不採択となった背景には、他国に責任を転嫁し自国の行動を正当化する為政者の言動があると指摘しました。このような姿勢は、不信の連鎖を生み、第二次世界大戦当時の情勢へと逆行させるものであり、第3の広島・長崎を作り出す危険性を孕んでいると警告しました。

また、被爆者の過酷な体験や悲惨な実相を具体的に提示し、核兵器の非人道性を強調しました。その上で、世界の指導者に対し、核抑止力への依存を深める姿勢を厳しく批判し、市民社会が主導して核兵器廃絶を「国際社会の常識」として根付かせる必要性を訴えました。特に若い世代に向けては、価値観や国境を越えた交流を通じて平和文化を育み、日常の中でできる行動を起こすよう呼びかけました。
日本政府に対しては、日本国憲法が掲げる平和の理想を胸に、今年11月に開催される「核兵器禁止条約」の締約国会議へのオブザーバー参加および早期締結を強く求めるとともに、高齢化が進む被爆者や在外被爆者への支援拡充を促しました。
市長の言葉通り、核抑止への依存は不信と軍拡の連鎖を生むだけです。被爆の実相を直視し、市民社会から「核なき世界」の世論を高めていくことの重要性を再認識しました。地方自治の現場からも、平和文化の醸成に向けた取り組みを継続していかなければならないと感じます。
2. こども代表による「平和への誓い」
広島市内の小学校6年生代表、柿崎由宇さんと河野和希さんによって朗読された「平和への誓い」では、子どもたちの目線から平和の尊さと未来への決意が語られました。

二人は、一瞬にして大切な命や暮らしが奪われた1945年8月6日の惨状に思いを馳せ、ボロボロになった制服や黒く焦げたお弁当箱など、日常が生々しく奪われた証拠から被爆の実相を直視することの大切さを訴えました。
被爆体験を直接聴くことができる最後の世代として、目を背けずに悲しい現実と向き合い、当時の記憶を事実として受け止めていく誓いを立てました。

さらに、日常の中で互いの意見の違いを認め合ったり、相手の気持ちを想像したりすることが平和の第一歩であることを提示。「平和は与えられるものではなく、自分たちの手で創り上げるもの」という力強いメッセージを発信し、世界中の人々と手を携えて希望ある未来へ歩みを進めていくことを誓いました。
次世代を担う子どもたちが、遺品や証言から被爆の実相を正面から受け止め、「平和は自分たちで創るもの」と力強く語る姿に深く胸を打たれました。私たち大人は、子どもたちが希望を持って生きられる不戦と平和の社会を確実に手渡す責任があると強く痛感しています。
3. 高市総理大臣の挨拶と課題
高市早苗内閣総理大臣は挨拶において、わが国が「非核三原則」を堅持し、唯一の戦争被爆国として「核兵器のない世界」の実現に向けた取り組みを粘り強く継続していく姿勢を表明しました。また、厳しさを増す安全保障環境に触れつつ、NPT体制の維持・強化や「広島アクション・プラン」に基づく実質的な取り組みの重要性を訴え、被爆者に対する医療・福祉・保健の総合的な援護事業を今後も推進していく方針を示しました。
しかしながら、その内容は従来の政府答弁の域を出ず、具体的な核軍縮の道筋についての言及は限定的でした。特に、広島市長や被爆者団体が強く要請している「核兵器禁止条約」への参加や、締約国会議へのオブザーバー参加については一切触れられず、核抑止力に依存し続ける安全保障姿勢を提示するにとどまりました。被爆地の切実な声や国際社会の潮流に応えようとしない政府姿勢に対しては、不満が残る結果となりました。
唯一の戦争被爆国でありながら、核兵器禁止条約への参加やオブザーバー出席にすら言及しない政府の姿勢には強い疑問と歯がゆさを禁じえません。言葉だけの「核なき世界」ではなく、実質的な条約締結に向けた具体的な舵切りこそが、いま日本政府に求められています。
4. 広島県知事の挨拶
横田 美香・広島県知事は、被爆者の体験談や声なき声に耳を傾けることの重要性を説き、核抑止論が抱える根本的な矛盾と危険性を厳しく糾弾しました。

知事は、核抑止力への依存が軍拡競争や不信感を助長し、かえって新たな戦争の危険を引き起こしている現実を直視すべきであると強調しました。核による威嚇や軍備拡張は核兵器使用のリスクを高めるだけであり、「核抑止から脱却することこそが、真の安全保障につながる」と訴えました。
また、今年亡くなられた被爆者の「原爆の悲劇に国境はない」という言葉を引用し、核兵器がもたらす惨禍は特定の国だけでなく全人類に及ぶものであると指摘しました。対立や暴力を乗り越え、対話と国際協力によって共通の安全保障を築くため、世界中の人々が結集し、核兵器を無意味化するための具体的な行動を起こすよう力強く呼びかけました。
「核抑止論からの脱却」こそが真の安全保障につながるという知事の主張に強く賛同します。恐怖による威嚇ではなく、対話と国際協力によって平和を築く外交姿勢への転換がいまこそ必要であり、私たちもその声をあげ続けていかなければなりません。
5. 国連事務総長メッセージ(代読)
国連事務総長のアンソニー・グテーレス氏からのメッセージは、中満泉・国連事務次長(軍縮担当上級代表)によって日本語で代読されました。

メッセージでは、81年前に広島が被った壊滅的な惨劇を振り返るとともに、核兵器による威嚇が再び現実味を帯びている現在の世界情勢に対する深い懸念が示されました。地政学的な分断や軍拡競争が進み、世界の軍事費が増大している現状において、核兵器の脅威は過去のものではなく、現代の最重要課題であると指摘しました。

事務総長は、平和とは恐怖や力によって得られるものではなく、信頼・対話・国際法へのコミットメントによってのみ構築されるものであると強調しました。そして、広島の被爆者が絶望の淵から立ち上がり、世代を超えて世界に平和のメッセージを発信し続けてきた姿勢に敬意を表し、国際社会が団結して「核兵器ゼロ」に向けた軍縮の歩みを再開すべきであると強く訴えました。
軍事費が増大し世界の分断が進む今だからこそ、「平和は力や恐怖ではなく信頼と対話で構築される」という国連のメッセージを重く受け止めるべきです。国際社会と連動し、核兵器ゼロに向けた具体的なアクションを起こす大切さを痛感しました。
おわりに
被爆から81年が経過し、被爆者の平均年齢が86歳を超える中、戦争と被爆の記憶をいかに次世代へ継承し、実効性のある核軍縮へ繋げていくかが問われています。
広島から発せられたこれらの言葉と祈りを胸に留め、私たち一人ひとりが平和のために何ができるかを考え、行動し続けていくことが求められています。
